KOAという木とTakanimeという気

2週間ほど前、何となく立ち寄った楽器屋さんで非常に美しいギターを見つけました。それはHawaii諸島産アカシア属の“KOA/コア”と言う木で作られた一本です。そのKOAと言う木は、光の当たり方や見る方向で木目が全然違って見えてしまう不思議な性質を持っています。ハワイ産のKOAの木は伐採をしすぎてしまい、現在ではかなり貴重な材料として知られています。普通は合板(薄く切った物を張り合わせた板)で表面だけにKOAが使われるものなのです。その楽器屋さんでKOA製のギターを2種類見つけたのですが、安い方と高い方の値段に数倍もの差があるのです。勿論、その高い方がKOAの単板なのですが、詳しくネットで調べたら世界限定24本の内の1本でした。しかし「その一本がどうしてこんな近所にあるの?偶然・・・?」と、“裏”を取りたくなりもう少し調べたのです。そのギターは日本の岐阜県中津川市と言うところに工場がある“Takamine”と言うブランドでしたので、そこへ直接電話していくつか問い合わせをして見ました。すると、その高峰楽器製作所の方が仕様書を元に、こんな感じで本当に丁寧に説明してくれました・・・
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■:このギターは他のKOAで出来たギターと、どう違うのですか?
  T:これは海外のディストロビューターから別注で注文されて作ったモデルです。材料に使われているハワイ産のKOAの木ですが、その中でもグレードがいくつもあり、このモデルは一番高いA グレードの部分を使って製作したもので、他の合板モデルと見た目は似ていますが、KOAの木からわずかしか取れないAグレードの部分を使用してありますので、音は勿論、その希少価値とともに、他のKOA製合板ギターとは全くの別物だとお考えください。
■:日本でもKOAの単板で作られたモデルはありますか?
  T:日本ではありません。全て合板のタイプだけです。たまたまAグレードの木が手に入り、それを使ってこの工場で製作された、数本の中の一本です。
■:このギターが何本作られたかわかりますか?
  T:数本~数十本程度しか作られていないようです。KOAの木は簡単に入りませんし、そのAグレードの部分はもっと難しいので、かなり少ない本数しか製作されませんでしたよ。
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と、こんな感じで、いきなりの電話にも丁寧に対応していただけました。
そして更に海外のサイトで調べたところ、このモデルは24本しか製作出来なかったことが判明!そして数日間、相当考えた末にダイヤモンドヘッドから飛び降りる思いで購入を決意。かなり思いっきりがいりました・・・。えっと、「ところでギターは上手いのか?」と聞かれれば「いいえ下手ですよ」ときっぱりと回答できるほどの腕前ですが、これを機会にまじめに練習しようかと思ったところです。それにしても、この高峰楽器製作所の対応の良さには感動しました。実はその前に、池袋の有名な楽器屋さんに他のモデルについて問い合わせをしたら、かなり不愉快な対応をされてしまい「今から乗り込んだろか-!!プルプルプル~~~」っと思っちゃったほどでしたので、余計に高峰楽器製作所の肌理細やかな対応が心地よいものでした。そして、お客さんに対する“気(気持ち)”の大切さをすごく感じることができ、そして見習うところも沢山発見できた、貴重な数日間でした。
takamine koaguitar

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